87年に結成されたアメリカン・アンダーグラウンド・シーンのカリスマ、フガジのオリジナル・メンバー、ベーシストとして知られる寡黙なアジテーター、ジョー・ラリー。フレットレス・ベースで、歌うように演奏するその独特のスタイルは、後の若手ベーシストにも多大な影響を与えたことで知られる。
03年のフガジ活動停止後も、ディスコード内に自身のレーベル、トロッタを設立。2004年には元レッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテとアタクシアを結成してアルバムを発表するなど、旺盛な活動を行う。06年にフガジのメンバーをバックに1stソロ『There to Here』を発表。翌07年にはプロデューサーにイアン・マッケイを据え、DC人脈総出演で2ndアルバム『Nothing Is Underrated』を完成させた。
そして同年、イタリアのローマに移住。地元若手ミュージシャンと積極的に交流し、ZUとの共演を経て、ギターにエリッサ・アベーラ、ドラムにファビオ・シンカをレギュラー・メンバーに固定、ローマでの本格的な活動を開始した。
09年のジャパン・ツアー後、バンドはニュー・アルバムの制作に入り、ヨーロッパ〜アメリカのツアーの合間にレコーディングを継続、10年夏にようやくマスタリングが完了。3人での意気の合った阿吽のプレイは、得も知れぬグルーヴを生み、過去2作よりもさらにタイトに、よりハードエッジな音に仕上がっている。パンクでもジャズでもブルースでもロックでもあり、またそのどれでもない真の意味でのオルタナティヴ。それ以外の表現が見つからない革新的なサウンドがここにはある。